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【記録ずくめの62でトップに立った小平智のマインドコントロール】 |
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第2日
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競技報告:塩原義雄 写真:Y.Watanabe |
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スタートからの4連続をはじめ、奪ったバーディは11個。ボギーにしたのは、15番の1ホールだけで10アンダーパーの62。1アンダーでスタートした小平智がリーディングボードを駆け上り、通算11アンダーパーでトップに立った。
圧巻のゴルフであった。前半が7バーディの29。パー72のコースを舞台にした日本オープンでは、1987年大会(兵庫・有馬ロイヤルGC)の第1ラウンドでグラハム・マーシュが記録して以来の快挙となった。
後半にターンして、12番のバーディの後、15番(パー4)でこの日唯一のボギーを叩くのだが、これでもう一段ギアが上がった。実は、このボギーで、同じ組で回ったアマチュアの金谷拓実
に1打の遅れをとった。
「あそこは、キャディーの(風の)読みと自分の感覚のずれがありました。“フォローだ”といわれたけど、打ったら実際はアゲインストで大ショートしてしまいました」
16番ティーインググラウンドに向かいながら、小平はキャディーに宣言した。「ここから2バーディをとるぞ」
「アマチュアに負けるわけにはいかない。ミスは自分で取り戻す。それもお釣りがくるくらい。スイッチが入りました。それまでもゾーンに入っていて、ものすごく集中していたのですが、その集中がてっぺんにまで上がり切りました」
16番(パー4)は左サイドのホールロケーションに対して、さらにその左からのフェードボールで1.5メートルにつけた。続く17番(パー3)は、ピン一直線に飛んでいったボールが奥のエッジにこぼれたところからサンドウェッジでチップイン。さらに最終18番ではフェアウェイ右サイドからの第2打でグリーンの傾斜を意識して少し大きめだったところから戻して1メートル弱に。なんと、3連続バーディの上がりで金谷を抜き、突き放した。
62のスコアは、尾崎将司の大会ラウンド最少スコア64(1992年大会:茨城県・龍ヶ崎CC)を更新する大会記録であった。自己ベストも塗り替えた。
小平は、今シーズン、脳神経外科医のカウンセリングを受けるようになった。林成之医師がその人で、きっかけは知人に教えられ、同医師の著書「勝負脳の鍛え方」を読んだことだった。その内容に感銘し、直接話を聞きたくなったというのだ。
「ちょうど自分のゴルフに壁を感じているときでした。ショットはいい。パットもそれなりに決まる。それが、なかなか結果につながらない状態が続いていたんです。なにかやらなければ…と、悩んでいたときに、出会えました」
アドバイスは「体の動きは、全て脳からの指令による。だから、その脳を鍛える必要がある。マイナス志向やネガティブな考え方は、自分にブレーキをかけるばかりで、なんのプラスにもならない。プラス思考で積極的にプレーすることが大切だというものです。他にも、いろいろあるんですけど、今は、とにかく、ポジティブにゴルフを進めるようにしています」
ティーインググラウンドに立ったら、全ホールでバーディ狙い。自分には、それができると思い、実践する。アニカ・ソレンスタムが学んだピア・ニールソンの「ピジョン54」に共通するマインド思考だ。
「ものすごく集中できていたので、スコアは数えていませんでした。全てが、はまった。そういう1日でした。明日からも、この姿勢でプレーしていきます。終わってみれば、(スコア的に)うまくいきすぎたようにも思いますが、とにかく、自分にブレーキをかけることなく、全開状態で取り組んでいきます。絶対に勝ちたい試合だし、それができると信じてやり抜きたいですね」
小平の言葉には、力強さが漲っていた。
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