2023年度(第56回)日本女子オープンゴルフ選手権が明日28日、福井県あわら市の芦原ゴルフクラブ・海コースで開幕する。10代、20代前半の選手の活躍が目覚ましい日本女子ゴルフ界。注目を集める新世代が、女子ゴルファー日本一の座を争うナショナルオープンに臨む。
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USLPGAツアーで活躍を見せている古江彩佳は2年ぶりの本選手権出場。帰国後初戦は予選落ちを喫したが、先週は六甲国際ゴルフ倶楽部で日本の芝対策も行い、調子は上向いているようだ。「日本女子オープンは、アマチュア時代にプロが出場する試合に
初めて出た大会なので、思い出はあるかなと思います。自分が頑張った結果がついてきてくれれば良いなと思います」と、落ち着いた様子で本選手権の抱負を語る。「天気が良いようであれば、上位争いには4日間、60台を出さないといけないと思います」と好スコアでの優勝争いをイメージしているが、「まずは予選通過を目標に。最後に上位争いまで持っていけるように頑張りたいと思います」と気負いなく自身初のメジャータイトル獲得を目指す。
今年のフジサンケイレディスでプロ初勝利を挙げ、日本女子プロゴルフ選手権も制した神谷そら。日本女子プロとの2冠達成も期待され、「日本女子プロに続いて良い成績を残したいなと思います」と笑顔を見せるが、高揚は感じさせない。会場の芦原ゴルフクラブは昨年、中部女子アマチュアゴルフ選手権で妹との一騎打ちを制して優勝を飾った思い出のゴルフ場だ。わずか1年で描いた成長曲線には驚かされるが、「今年、1番きついゴルフ場かなと思っているので、大変だなと思います」と会場の芦原ゴルフクラブの厳しさへの警戒心は強い。地元中部で迎えるナショナルオープンに周囲の期待は高まっているが、自分のペースを守る姿に、神谷の強さの秘密が隠されているようだ。
2022年メルセデス・ランキング1位で今シーズンも4勝を挙げて同ランキング2位につけている山下美夢有は、前週のツアー競技でも3位タイに入賞し、ショットも復調気配だという。昨年大会では、最終ラウンドの9番(パー4)でイーグルを奪取するなど見せ場は作ったものの、勝みなみとは3打差の3位タイに終わっただけに、日本女子オープン初優勝に向けて、「本当に大きい大会だと思うので、そこで優勝することが自分自身の自信にもなるし、気持ちも入るので特別な大会」と静かに闘志を燃やす。「セッティングが厳しくなると技術も試されるという楽しみがありますし、コンディションが難しいと考えるのも楽しい」と各選手が口を揃えるナショナルオープン特有の厳しさをも楽しもうとする気持ちの余裕は、山下の強みか。2年連続でのメルセデス・ランキング1位を獲得するためにも、本選手権でシーズン5勝目を飾りたいところだ。
今週、最も注目を集めている選手と言えるのが、岩井明愛だろう。これまで2人しか達成していない3週連続優勝がかかる岩井だが、「正直なところ、特に意識していなくて」と周囲の喧騒をよそにマイペースで開幕を迎える。「メジャー大会は、みんなが獲りたいタイトルだと思います。でも、自分はいつもと変わらずに自分のプレーに集中してやれたら良いと思います」という言葉は、自身の好調さゆえのものだろうか。初めてプレーするという芦原ゴルフクラブ・海コースは、「ラフが難しいですね。ラフが長くて飛距離が出なかったり。クラブ選択も2番手くらいの上げ下げを考えないといけない。そういうショットが難しいかな」と話すが、今日の練習ラウンドで重点的にラフからのショットを試すなど、最後の調整に余念がなかった。
もう一人、注目したいのは今年の日本女子アマチュアゴルフ選手権チャンピオンの飯島早織だ。本選手権では13名の選手が達成している日本女子アマと日本女子オープンローアマチュアのダブルタイトル獲得。14人目の偉業達成を狙う飯島は初めてプレーするという芦原ゴルフクラブ・海コースでの練習ラウンドを終え、「グリーンが小さくて傾斜が強いので、グリーンに乗せる場所をしっかり考えないと難しいという印象です。木に囲まれているホールと、そうでないホールで風の抜け方も全然違うので、気をつけないといけないと思います」と競技用コースレート79.9にセッティングされた舞台を警戒する。初出場の昨年はカットに終わったが、「距離の長いホールで無理をしてミスをして焦りに繋がってしまった。今年は、難しいセッティングの中ではボギーになってしまっても仕方がないと自分の中で受け入れて攻めていけたら良いなと思います。去年は攻略も出来ませんでしたし、バーディも取れませんでした。今年は後半のラウンドに進出して、このコースと自分にも勝てるように頑張ります」と女子アマチャンピオンという称号を手にして臨む本選手権で、この1年の成長した姿をみせたいと意気込んでいる。
1983年大会以来の日本女子オープンゴルフ選手権開催となる芦原ゴルフクラブ・海コース。ナショナルオープンらしい長いラフ、硬いグリーン、絞られたフェアウェイというセッティングに加え、アップダウン、日本海からの海風、天候と選手には技術はもとより最後まで集中を切らさない精神力も求められる。新世代の選手はもちろんのこと、昨年大会2位の雪辱を晴らし国内グランドスラムを狙う申ジエ、本選手権で幾度も優勝争いを演じている菊地絵理香、今シーズン復活優勝を果たした穴井詩ら実力者たちも虎視眈々と頂点を狙っている。日本最高峰の本選手権にふさわしい舞台に整えられた芦原ゴルフクラブ・海コース。4日間72ホールの戦いの末に優勝杯を掲げるのは誰になるか。
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