ゴルフはフェアなゲームだといわれるけれど、実は、アンフェアなことがいろいろある。特に、トーナメントでは、それぞれのプレーの時間帯が大きくかわる。今大会の第1ラウンドのトップスタートは、早朝7時から8時30分までの、いわゆる午前組20組が、1番ホールと10番ホールに分かれてスタートする。
さらに午後組は、11時20分から12時50分までの20組。その時間差は、スタート時点で最大5時間50分となる。その間には、天候の運と不運が分かれることもある。したがって、第1ラウンドのスタート時間と第2ラウンドの時間は、大まかに午前と午後組が大きく入れ替わって、条件をあわせていくようにできている。日本では
、あまり経験が少ないが、全英オープンなどでは、1時間も違うと、暑さ寒さ、緩やかな風と強風と条件が目まぐるしく変化するのだ。
今大会の会場となった芦原ゴルフクラブは、シーサイドコース。川奈ゴルフ場や大阪ゴルフクラブなどと同じで、海からの風や雲の流れで、天候が豹変することもある。ゴルフが自然に対してはアンフェアと言われる根底がここにある。
原英莉花は、第23組で1番ホールから11時40分のスタート。少し雲行きが悪くなっていた。原は、第1打を気持ちよく放った。その2打地点のことだった。「なんじゃ、これは……」と原が内心思ったというほど、一気に雲行きがおかしくなり、みるみるうちに雨と風が吹き荒れた。豹変だった。パー5のホール。原にとっては、バーディを狙いたいホールだ。それをパーとしてのスタートだった。風雨が酷くなったのは、皮肉にも原が3ホール連続バーディを奪った3,4、5番だった。強いアゲインストとなった4番(359ヤード・パー4)。無風に近ければ、第2打を9番アイアンで狙うところを、今日は、残り164ヤードを4番ユーティリティーで放った。その後、ずっとパープレーが続いた。次にバーディとしたのは、11番(パー4)。そして唯一のボギーが13番。すかさず14番でもバーディを奪い、通算4アンダーパーでホールアウトした。「でも、1打1打楽しくプレーできました。無駄な3パットもありましたけど、思うような球筋で飛んでいくショットは、いい感じになっています。(的確に)1打1打を決め打ちしていかないといけないので、そのへんも明日から認識しながらプレーします」と原は語っていた。
芦原ゴルフクラブは、例えばサンディエゴのトーレ・パインやサンタバーバラのサンドパイパーのような、日本ではあまり味わえないシーサイドコースである。シーサイドであるがゆえに、自然ととどう向き合いながらゲームを作り上げていくかが大きなポイントにもなる。インタビューを終えた原が「早く帰って、今日の疲労を回復して明日に備えないと」と言った言葉は、いつもより過酷なプレーを強いられているからに違いない。トーナメントを、コースの自然条件やレイアウト、セッティングという面から推理するのも面白い。
|