5バーディ・ノーボギーの67をマークして通算7アンダーパーの2位グループに浮上した稲見。スコアはよかったのだが、表情は、いまひとつ冴えなかった。それというのも、まだ自分のやりたいゴルフをやり切れていないからだ。
「狙いきれないというか、攻め切れないというか、打ち切れないというか……。ちぐはぐなゴルフではないんです。セーフティーといえばセーフティーなゴルフなんですけど、狙っていっていい状況でもそうなってしまう自分に納得できないのです。振ると、どちらかに曲がりそうで不安が湧いてくるんですよ。好調だったときは、“あそこ”って決めたら、迷わずに打ち切れたんですけどねえ……。ちょっと不安が顔をのぞ
かせると、やっぱり、安全な方に打ってしまう、というかそっちに飛んで行ってしまうんです」。
そんな中で会心のショットもあった。7番(パー3)である。やや打ち下ろしになる197ヤードのホールで5番アイアンを手にした。「ピンを狙って、コントロールのことは考えず、クラブも不安もしっかり振り切って打ち抜きました。そしたらピンそばについてのバーディでした。狙って奪えたバーディになりました。やっぱり私は、こういうゴルフをしたい。でも、打つ前に不安を覚えるのが現状ですから、それに徹しきれないんですよ」。
ショットメーカーで完全主義者の稲見は、内容も結果も求めるものでないと満足しない。理想が高い故のジレンマに陥っているのかもしれないのだが、より高いレベルのゴルフを目指している中での通過点。それが現状なのであろう。それでも、優勝争いの一角に食い込むだけのスコアは叩き出せているのだが。
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