「風もグリーンも難しく感じた」という第3ラウンドの菊地絵理香。10バーディを奪った第2ラウンドの勢いは、一夜明けると消えていた。自身が「あれっ?と感じた」というのは、スタートして数ホールでのことだった。「このコースでは、ラフに入るのは仕方がないことだとは思うのですが、止まったところが、なぜか長い芝生の中。そこから打つのに力が入ってしまって、スウィングのリズムが微妙にずれてきた」というのだ。さらに、グリーンオンしても上って下りになるラインだったり、読み以上に曲がるラインになる。難しい状況が続いていくうちに、あれだけ自信を持って打ち抜いていたショートパットのラインが読み切れずにカップ横を通り抜けて
しまう。
話は前後してしまうが、ホールアウト後に向かった練習グリーンで、菊地は2メートルほどの距離でホールに向かってあちこちの方向からホールの反対側に強くぶつけてボールを飛び込ます練習を続けていた。曲がるライン、切れるラインであっても強めにヒットして直線的に狙うようにすることで微妙な曲がりを消してしまう攻めのパットの感覚を取り戻そうとしていたのだった。第3ラウンドのグリーン形状に惑わされて決め切れなかった反省も込めて重ねたチェックであった。
13番では、パーオンしながら3パットのボギーもあった。16番(パー4)では、左ラフからの第2打でグリーンを狙ったのだが、アドレスするまで迷っていた。「フライヤーになるのは想像できたけど、どれだけ飛ぶのか。逆に芝生に負けて思ったよりも飛ばなかったという結果も頭に浮かんで、決断できなかったんです」と菊地は、この時の状況を振り返った。さて、その結果は「ある程度フライヤーする」と読み、ユーティリティーでボールを打ち抜いていったのだが、思ったよりもはるかに飛んで行ってしまい、グリーン奥のレッドペナルティーエリアに転がり落ちてしまった。幸いなことに長い草の中とは言え、クラブを振ることはできたのでグリーン面の高さにまで打ち出し、そこから寄せてのボギーにとどめたが前日までの菊地からは想像できないゴルフが続いた。18番もバーディチャンスでパットを決め切れず、バーディフィニッシュの原英莉花に首位の座を明け渡し、1打差の2位で最終ラウンドの直接対決を続けることになった。
日本女子オープンでは何度も悔しい思いをしている菊地として、「今度こそ……」の気持ちがある。「まあ、第3ラウンドの足踏みは、最終ラウンドにチャージしていくための準備だ。そう自分を納得させて、気持ちをリセットして臨みます」。
絵理香(菊地)と英莉花(原)。ダブルエリカの対決は、まだ終わらない。
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